日本時間2026年7月25日、X(旧Twitter)の製品責任者ニキタ・ビア氏が、チャットボットで自動的にリプライを送り続けていた4万2000アカウントを削除したと発表しました。
AIを活用した自動化ツールを導入しているSNS運用担当者にとって、設定を見直す契機になる内容です。
発表の背景と削除基準の意味合い、そして運用上の注意点を確認しました。
何が起きたのか
発端はビア氏本人によるX上の投稿です。
ビア氏は「チャットボットを使って自動的にリプライを行っていた4万2000アカウントを発見し削除した。
Xの核心的な価値は人類のありのままの鼓動を伝えることであり、人間を介さずAIでプログラム的にユーザーと関わることはその使命に反する」と述べています(日本語訳)。
We found 42,000 accounts automating replies using chatbots and have removed them from the platform.
— Nikita Bier (@nikitabier) 2026年7月24日
X's core value is providing an authentic pulse on humanity — and using AI to programmatically engage with users without a human in the loop runs counter to our mission.
この4万2000件は単発の取り締まりではありません。
2026年初頭から続く大規模なボット排除の一環であり、今年に入ってからすでに170万件を超えるボットアカウントが削除されています。
4月時点では1分あたり208アカウントのペースで停止処理が進んでいたとされており、継続的な取り組みであることがわかります。
日本での反応と「インプレゾンビ」問題
日本のXユーザーの間では、発表を歓迎する声が相次ぎました。
背景には「インプレゾンビ」への根強い不満があります。
インプレゾンビとは、表示回数(インプレッション)を稼ぐことを目的に、内容の薄い定型文的な自動リプライを大量に送りつけるアカウントの俗称です。
Xの収益化基準にインプレッション数が関わるようになって以降、この種のアカウントが急増したとされており、リプライ欄の質低下として日本のX利用者に広く認識されていました。
一方、発表のタイミングを疑問視する声もありました。
削除発表の直前にX上で別の炎上騒動が起きていたことから、「本当に自然発生的な対応なのか、タイミングを計った対応ではないか」という見方が一部で出ています。
真偽を判断できる材料はありませんが、プラットフォームの運営判断に「なぜこのタイミングで」という問いがつきまとうのは、業界人として慣れておく価値のある視点です。
また、AIキャラクターを運用している事業者からは「正当なAI活用と迷惑行為の境界が曖昧になる」という懸念の声も上がっており、基準の明文化を求める動きも見られます。
SNS運用担当者が確認しておきたいこと
今回の削除対象は「人間の介在なくチャットボットでリプライしていたアカウント」に絞られており、通常のコンテンツ予約投稿や公式の情報告知Botとは区別されているとみられます。
とはいえ、Xが境界線を公式に詳細定義しているわけではなく、グレーゾーンが残る部分もあります。
生成AIを使ったリプライ自動化ツールを導入している企業アカウントは、自社の設定内容を確認する価値があります。
「AIが下書きし、人間が確認してから送信する」フローであれば問題になりにくいとみられます。
一方、「人間の承認なしに自動でリプライが送られる」設定は、今回の削除対象に近い形態です。
Xが2026年2月に示した基準は端的でした。
「人間が画面をタップしていなければ、そのアカウントと関連するすべてのアカウントが停止される可能性が高い」というものです。
これは単なる方針の表明にとどまらず、実際の停止処理の判断基準として機能しているとみられます。
この流れをどう受け止めるか
累計170万件超という今年の削除規模を見ると、Xはボット対策を単発の施策ではなく、プラットフォームの信頼性を維持するための継続的な課題として位置づけていることがわかります。
今回の4万2000件は、その流れの中の1フェーズです。
「今回削除されなかったから安全」ではなく、基準がさらに厳格化されていく前提で運用を設計する方向性が現実的でしょう。
過去にInstagramやFacebookでも、自動フォロー・スパム的な自動コメントへの取り締まりが強化された際、正規のマーケティング目的で自動化ツールを使っていたアカウントが巻き込まれるケースがありました。
Xでも同様の「巻き込まれリスク」を想定し、自動化の範囲を「人が最終的に確認・承認するプロセス」に絞っておくことが、当面の安全策になりそうです。
SocialReport の視点から
今回のBot削除は、エンゲージメントの「量」より「質」を重視する流れの表れとして読み取れます。
SocialReport の X 機能では、キーワードを設定して投稿数の推移・ポジネガ感情分析・投稿者ランキング(フォロワー数分析付き)を確認できます。
ボット的なアカウントが削除されていくとすれば、キーワード周辺の感情分析や投稿者の傾向が、より実態に近い分布を示すようになるという側面もあります。
自動化の波及効果をデータで追いたい場合に、参考になる観点です。
なお、自社アカウントの個別投稿パフォーマンスを細粒度で継続的に追跡する機能は、現状のSocialReportでは対応していません。
この領域については「アカウント運用サポートツール」として構想を進めている段階で、形が見えてきた段階で改めてご案内させていただければと思います。
まとめ
Xによる4万2000アカウントの削除は、2026年を通じて続いている大規模なボット排除の一環です。
「人間の介在なくAIでリプライする」という線引きは明確であり、生成AIを活用した自動返信ツールを使っているアカウントは設定内容を確認する価値があります。
プラットフォームが「本物の交流」を掲げて継続的に取り締まりを強化している以上、エンゲージメント数の水増しを目的とした自動化よりも、人が関与する質の高い運用が、長期的な安定につながるでしょう。
最終更新:2026-07-27