2026年6月10日、Instagramがユーザー自身でフィードの話題を調整できる「あなたのアルゴリズム(Your Algorithm)」をメインフィードへ拡張しました。
Instagramを運用するマーケティング担当者・代理店が対象です。
フォロー外リーチが主役になった今、何が変わり、運用をどう組み替えるべきかを整理します。
ユーザーが「見たい話題」を選べるようになった
「あなたのアルゴリズム」は、見たい話題と見たくない話題をユーザー自身が指定できる機能です。
Instagramがまず利用者のアプリ内行動から話題リストを自動生成し、ユーザーがそれを編集して「もっと見たい」「減らしたい」を伝えると、おすすめの出方が調整されます。
展開は段階的でした。
2025年10月にまずReelsで導入され、2026年4月にExplore(発見タブ)へ広がり、そして6月10日にメインフィードへ到達しています。
点ではなく、半年以上かけた一連の動きです。
発表したのはInstagram責任者のアダム・モセリ氏で、Threads上で告知しました。
同氏は「かつて『誰をフォローするか』は自分の体験を形づくる意味のある手段だった。
けれどおすすめがメインフィードを覆っていくにつれ、その手段は静かに機能しなくなった」と述べています。
なぜこれが「線の動き」なのか
注目すべきは、この発言がプラットフォーム側の自己認識の表明になっている点です。
フォローという行為だけではもう自分の見るものをコントロールできない——それをInstagramの責任者自身が認めた、と読み取れます。
背景には「コネクテッドリーチ」と「アンコネクテッドリーチ」の比重変化があります。
前者はフォロワーから、後者はまだフォローしていない人から得られる到達です。
2026年に入ってアンコネクテッドリーチが大きく伸び、フィードはフォロー中のアカウントの流れではなく、おすすめとフォロー投稿が混ざり合う場へと変わってきました。
結果として、フォロワー数はリーチの最強の予測因子ではなくなっています。
フォロワー500人でも、保存やDMシェアを生むコンテンツなら50万フォロワーの受動的なアカウントを上回る、という現象が当たり前になりました。
一方で、この機能を冷静に見る声もあります。
海外メディアのSocial Media Todayは、「ユーザー本位の機能」と位置づけられてはいるものの、実際に手を動かしてフィードを調整する人は多くないだろうと指摘しています。
エンゲージメントを最大化するおすすめ配信こそがMetaの優先事項であり、その意味でこの機能は広報的な側面が強い、という見立てです。
現場感覚で言えば、評価は二つに割れます。
多くの一般ユーザーが設定をいじらない、という予測はおそらく正しい。
ただしマーケティング担当者にとっての本当のメッセージは別のところにあります。
「コンテンツはフォロワーに届く」という前提が崩れたと、プラットフォーム自身が公言した。
ここが見逃せないポイントです。
運用担当者は何をすべきか
第一に、KPIの主役をフォロワー数から「リーチあたりの反応」へ移すことです。
Instagramがランキングで重視する信号は、視聴時間(watch time)、リーチあたりの送信数(sends per reach=DMでのシェア)、リーチあたりのいいね(likes per reach)だと、モセリ氏が明言しています。
なかでもDMでの個別シェアは、いま最も価値が高いとされる信号です。
友人に送りたくなる投稿かどうかを、設計の起点に置く価値があります。
第二に、話題(トピック)設計の見直しです。
ユーザーが「もっと見たい」と選ぶ話題の中に、自社のコンテンツが入れるか。
逆に「減らしたい」に分類されやすい押し売り的な投稿になっていないか。
フォロー外の人に届く前提で、テーマの一貫性を点検しておくと、次の運用サイクルで効いてきます。
SocialReport の視点から
フォロー外リーチが主役になると、「自分のコンテンツが、フォロワー以外にどんな話題・文脈で受け止められているか」を把握する重要性が増します。
SocialReportのInstagram分析では、ハッシュタグ単位での投稿数・エンゲージメント推移のトラッキング、投稿者ランキング、関連ハッシュタグの推薦、曜日×時間帯ヒートマップ、キャプションのワードクラウドや感情分析までを確認でき、約50項目から選べるPDFレポートとして出力できます。
市場全体での話題量や反応の傾向をつかむ用途に向いています。
一方で、シェア率・スキップ率・経時ビューといった自社アカウント1つの細粒度な指標を継続ウォッチする用途は、現状のSocialReportでは対応していません。
この領域については「アカウント運用サポートツール」として構想を進めている段階で、形が見えてきた段階で改めてご案内させていただければと思います。
まとめ
今回の拡張は「ユーザーに優しい新機能が増えた」という話ではありません。
フォローという行為だけでは自分の体験を制御できない時代を、プラットフォーム自身が認めた一手だと受け止めています。
運用側の答えはシンプルで、フォロワー数で成果を語るのをやめ、保存・シェア・視聴時間といった「リーチあたりの反応」で設計し直すこと。
その移行は、もう静かに始まっています。
最終更新:2026-06-30