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X が約4,000アカウントを収益プログラムから除外:企業アカウントが見直すべきは「転載」より「文言」2026年版

2026.07.29 Social Report編集部

2026年7月16日、X のプロダクト責任者ニキータ・ビア氏が、クリエイター収益分配プログラムの不正対策を強化したと発表しました。
X で自社アカウントを運用している企業・代理店の担当者に関係する話です。
除外の対象になったのは主に転載アカウントですが、同時に厳格化されたエンゲージメント誘発のルールは、収益化と無縁の企業アカウントにも読み替えが必要になります。

発表された内容を整理する

TechCrunch の報道と発表内容によると、今回の更新の中身は大きく2つです。

1つ目は、盗用コンテンツの検知強化です。
X は新しい Grok(X の生成 AI)モデルを導入し、重複コンテンツの検知率を従来モデルの3倍に引き上げました
直近の検知サイクルで見つかった盗用投稿は150万件にのぼります。
ウォーターマークを重ねたり、冒頭に一言足したりして加工したものも検知の対象になったとされています。

見逃せないのが、その後の処理です。
盗用と判定された投稿の収益は、元の投稿者へ付け替えられます。
今回のサイクルで振り替えられる金額は100万ドル超の見込みです。
約4,000アカウントがプログラムから除外されました。
投稿を消して逃げ切る、という選択肢が成立しにくい設計になっています。

2つ目が、エンゲージメント誘発、いわゆるエンゲージメントベイトへの対応です。
「返信してくれた人は全員フォローします」といった、機械的に反応を集める投稿を3回以上繰り返すと、プログラムからの除外に加えて、ポリシーチームによるアカウント停止の審査対象になります。
収益が止まるだけでなく、アカウントそのものが危うくなる設計です

「うちは収益化していないから関係ない」で終わらせない

ここが今回いちばん実務に効く部分だと考えています。

転載の話は、正直なところ多くの企業アカウントには直接関係しません。
他人の投稿を機械的に再投稿して収益を得る運用は、そもそも企業のブランドアカウントではやりません。
関係するのは、もう一方のエンゲージメントベイトのほうです。

企業アカウントの投稿には、反応を促す定型文が入り込みやすい構造があります。
「いいねで応援してください」「リプ欄で教えてください」「フォローで最新情報が届きます」。
KPI にエンゲージメント率が置かれていれば、こうした一言を足す動機は自然に生まれます。
今回のルールが示したのは、反応を集める行為そのものではなく、機械的な反応を繰り返し誘うパターンが問題視されているという線引きです。

ではキャンペーンの応募条件はどうなるのか。
ここは慎重に見るべきところです。
X が公表した例は「返信した人を全員フォローする」という交換条件型の誘発で、賞品と応募条件を明示した懸賞企画を同列に扱うという説明は、現時点では確認できていません。
ただし、今後の運用次第でグレーゾーンが動く可能性は残ります。
少なくとも、フォロー数やリプライ数を増やすこと自体が目的化した文言は、書き方を見直しておいて損はありません。

明日から着手できる棚卸し

具体的な動き方を3つに絞ります。

直近3か月の投稿から、反応を促す定型文を抜き出す
手作業でも1時間程度で終わります。
そのうえで、「読者にとって意味のある呼びかけ」と「反応数を稼ぐための呼びかけ」に分けてみてください。
後者が定期的に繰り返されているアカウントは、文言のバリエーションを増やすか、そもそも外す判断が必要です。

素材の出どころを社内で明文化する
他社やユーザーの投稿を紹介する運用をしているなら、引用リポストを使う・出典を明記する・再編集して自社投稿にしない、というルールを運用マニュアルに落としておきます。
検知精度が上がったということは、意図せぬ再構成も引っかかりやすくなったということです。

キャンペーン文言のレビュー担当を1人決める
応募条件は法務チェックの対象になっていても、「エンゲージメントを誘発する表現かどうか」の観点でレビューされているケースは多くありません。
企画のたびに1人が目を通すだけで、リスクの大半は避けられます。

現場感:今回の発表で注目すべきは、透明性の出し方

数字の大きさよりも興味深かったのは、X が「誰を・なぜ除外したか」を公開の場で個別に説明している点です。
プラットフォームのモデレーションは通常、内部処理として扱われ、外から基準が見えません。
運用者は経験則と憶測で線を引くしかなかった。

今回のように個別事例が公開されると、運用の判断基準が推測から観察へ変わります
何がアウトだったのかを、実例で学べるようになるからです。
SNS 運用に携わる立場からすると、この方向性は歓迎したいところです。
ガイドラインの文面だけでは、実務の境界線はどうしても掴みにくいものですから。

同時に、検知が AI 側に寄っていることの意味も考えておきたいところです。
判定が自動化されるほど、判断は速く、そして一律になります。
「意図はなかった」という説明が通りにくくなる方向です。
だからこそ、運用ルールを人の裁量に頼らず、投稿前のチェック項目として仕組みに落としておくことが効いてきます。

SocialReport で押さえている領域

今回のような自社アカウントの投稿スタイルの棚卸しは、過去投稿を並べて眺めるところから始まります。
SocialReport の X 向けアカウント分析では、追跡アカウントの投稿一覧とエンゲージメント集計を、いいね・リポスト・リプライ・インプレッションの軸で確認できます。
ワードクラウドで頻出ワードを可視化できるので、自分たちが無意識に繰り返している言い回しを見つける用途にも使えます。

キーワード調査を組み合わせれば、自社名や商品名がどのような文脈で言及されているかも追えます。
投稿数推移・投稿者ランキング・曜日×時間帯のヒートマップまで含めて、カスタムレポートとして PDF に出力できます。
なお、アカウント停止リスクの判定やポリシー違反の検知そのものは SocialReport の機能ではありません。
あくまで自社投稿の傾向を把握するための材料としてご利用いただける領域です。

まとめ

今回の変更で企業アカウントが受け止めるべきなのは、転載への締め付けではなく、反応を促す文言の扱いが厳しくなったという事実です。
エンゲージメント率という指標を追いかけるあまり、機械的な呼びかけが定型化していないか。
投稿カレンダーを遡って確認するのに、ちょうどいいタイミングだと思います。


最終更新:2026-07-21

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