2026年8月中旬、Xの複数画像投稿はiOS・Android・ブラウザのすべてでカルーセル表示になりました。
4枚を1枚の絵として組んできた企業アカウントは、入稿テンプレートの作り直しが必要です。
全表示される条件は環境ごとに違うので、揃え先を先に決めておくと運用が楽になります。
グリッドの16:9から、1枚ずつのカルーセルへ
これまでXで画像を4枚投稿すると、「田」の字に並んだグリッドで4枚が同時に見えていました。
ただし4枚同時に見えるかわりに、1枚あたりは16:9に切り取られたサムネイルでした。
全体を見るにはタップして開く必要があった、という前提です。
新しいカルーセル(横スワイプで1枚ずつ見る表示形式)では、この関係が逆になります。
一度に見えるのは1枚だけ。
そのかわり、一定の範囲に収まる画像なら切り取られずに全体が表示されます。
一覧性を手放して、1枚あたりの見え方を取った形です。
経緯を時系列で置くと、2026年6月中旬に一部の環境で表示テストが確認され、7月10日にXでiOSアプリを担当するJonah Katz氏が自身の投稿でカルーセル化を告知しました。
このときAndroidとWebは「近日中に」(原文: Coming soon to Android and Web)とされていました。
日本語圏で「PCの見え方が変わった」という声が広がったのは8月上旬から中旬にかけてで、同じ8月中旬にAndroidアプリへの展開も伝えられています。
つまり現在は、移行期ではなく移行後です。
「まだPCはグリッドのままだから様子見」という判断は、もう取れなくなりました。
ここで一つ、書き手としての見方をお伝えします。
これは表示の変更というより、1投稿あたりの情報設計の変更だと受け止めています。
Xがタイムラインを一覧性から没入寄りに設計し直した、という方向性が見えるからです。
運用側の仕事も、画像を並べる作業から、順番を設計する作業へ寄っていきます。
全表示の条件は、環境ごとに違う
やっかいなのは、切り取られずに全部見える条件が環境で揃っていないことです。
第三者による実測をまとめると、次のようになります。
| 環境 | 全表示される「横÷縦」 | 近いアスペクト比 | 補足 |
|---|---|---|---|
| ブラウザ版 | 0.75〜1.33 | 3:4〜4:3 | 2026年8月12日時点の検証 |
| iOSアプリ | 0.75〜1.18 | 3:4〜20:17 | 7月13日時点の検証。 |
| 8月12日までに仕様変更あり | |||
| Androidアプリ | 8月中旬に展開 | — | 公開されている実測値はまだ少ない |
範囲を外れると、縦に長い画像は上下が、横に長い画像は左右が切り取られます。
従来のグリッド用に16:9(横÷縦で約1.78)で作ってきた画像は、複数枚投稿ではブラウザでもアプリでも左右が削られる側に入ります。
注意したいのは、これらがすべて第三者の実測であって、Xが数値仕様として公式に案内しているものではない点です。
告知そのものが担当者個人の投稿という形でした。
実際、同じ検証者が7月13日と8月12日で結果が変わったと報告しています。
だからこそ、「今日いちばん正しい数字」を追いかける設計にしないほうがいい、と考えています。
仕様が動いても外れにくい安全圏に寄せておく。
それが運用の負荷としては一番軽くなります。
揃え先の選択肢は3つ
現実的な選択肢は次の3つです。
16:9のまま続けるという選択は、既存の入稿テンプレートや過去のバナー資産をそのまま使えるのが利点です。
ただし複数枚投稿では毎回左右が削られます。
単一画像の投稿では16:9は今も素直に収まるので、「複数枚のときだけ削られる」という中途半端な状態が残ります。
1:1(正方形)に統一すると、横÷縦は1.00なので3環境すべての安全圏に入ります。
仕様が多少動いても巻き込まれにくい。
かわりに、縦の面積は4:5より小さく、テキストを載せる余白は少なくなります。
4:5(0.80)に統一すると、縦方向の面積が大きく、タイムラインでの占有も広く取れます。
0.80はブラウザの0.75〜1.33にもiOSの0.75〜1.18にも収まります。
さらにInstagramのフィードでも扱いやすい比率なので、制作の入稿ルールを1本にまとめられます。
結論として、複数画像は4:5、単一画像は16:9のまま、という二本立てを推します。
理由は3つあります。
第一に、4:5は現時点で判明している3環境の条件の内側にあり、片方の仕様が動いても即座に破綻しません。
第二に、縦の面積が広く、商品名やキャンペーン名を入れても窮屈になりません。
第三に、Instagramと共通のサイズで作れるため、デザイナーへの発注も社内チェックも一度で済みます。
判断に迷いが残るなら1:1が無難です。
数値が動いたときの巻き込まれにくさでは、正方形が一番強いからです。
「どちらも一長一短」で止めずに言い切ると、複数枚は4:5、安全側に倒すなら1:1、16:9は単一画像専用、という整理になります。
4枚の使い方を、どう組み替えるか
比率より重い論点がこちらです。
4枚をつなげて1枚の絵に見せる「分割アート」は、カルーセルでは成立しません。
では空いた4枚をどう使うか。
ひとつは、順番に見せる型に組み替える方法です。
工程を時系列で見せる、ビフォーアフターを並べる、使い方を手順で見せる。
カルーセルはもともとこの型と相性が良く、企業の実例でも、歴代商品を並べる使い方や、商品動画とディテール写真を組み合わせる使い方が紹介されています。
もうひとつは、複数枚をやめて1枚に集中させる方法です。
伝えたいことが1つなら、そもそも4枚に分ける必要がありません。
ここで、多くの記事があまり書いていない判断軸を1つ足します。
2枚目以降が見られたかどうかは、運用側では測れないという点です。
Xが公開している指標にスワイプ率はなく、インプレッションやいいねは投稿単位で返ってきます。
何枚目まで到達したかは、少なくとも通常の運用で扱えるデータの中には出てきません。
測れない導線に必須情報を預けるのは危うい。
だから原則はシンプルになります。
1枚目だけで意味が通る状態にして、2枚目以降は補強に回す。
応募条件・締切・価格のような落とせない情報は1枚目か本文テキストに置く。
順番を設計することと、順番に依存させることは別物として扱う、という整理です。
あとから効いてくる落とし穴
画像の端に置いた文字は、比率が範囲を外れた瞬間に消えます。
主要素は中央の60〜70%に収める、という古典的な作法が、この変更でまた効くようになりました。
1環境だけでプレビューして安心することも避けたいところです。
ブラウザとiOSで条件が違い、しかも1か月で数値が変わった実例があります。
少なくとも社内でPCとスマホの両方から見る手順を、投稿前チェックに戻しておく価値があります。
過去データとの単純比較も要注意です。
7月以前の複数画像投稿は、4枚同時に見えていた前提で数字が付いています。
移行後の投稿と並べてエンゲージメント率の増減を語ると、クリエイティブの良し悪しではなく表示仕様の差を見ていることになります。
月次レポートでは、7月〜8月に表示仕様の変更があった旨を注記しておくと、後任者やクライアントが読み違えません。
外部ツールのプレビューも、仕様変更への追随には時間差があります。
プレビュー上で問題なく見えていても、実機での確認を1回挟むほうが確実です。
SocialReport の視点から
今回の変更で運用側が本当に知りたいのは「カルーセルになって自社の複数画像投稿は弱くなったのか」だと思います。
SocialReportのX分析では、アカウント分析で自社・競合アカウントの投稿一覧とエンゲージメント(いいね・リポスト・リプライ・ブックマーク・インプレッションの実測値)を集計でき、キーワード調査では特定のテーマについて投稿数の推移や投稿者の傾向、曜日×時間帯のヒートマップまで確認できます。
移行の前後で数字がどう動いたかを、同じ物差しで並べる用途には使えます。
一方で、画像の何枚目まで見られたかというスワイプの到達率は、現状のSocialReportでは追えません。
ここはXが公開している指標の外側にあるためです。
個別投稿を深掘りする継続的なウォッチについては「アカウント運用サポートツール」として構想を進めている段階で、形が見えてきた段階で改めてご案内させていただければと思います。
Xのアカウント分析とキーワード調査は、クレジットカード不要・登録から1週間の無料お試しで確認できます。
登録直後の状態でも、サンプル調査の分析画面をそのまま見られます。
まとめ
比率を何に揃えるかは、実のところ入り口の話です。
本題は、1枚目で完結させて2枚目以降を補強に回すという、1投稿あたりの情報設計をどう組み直すかにあります。
数値仕様はこの2か月で実際に動いていて、今後も動きます。
だからこそ複数画像は4:5、安全側に倒すなら1:1という安定圏を決め打ちしておき、空いた時間は1枚目に何を置くかの検討へ回す。
そちらのほうが、来月の数字に効きます。
最終更新:2026-08-24